高額医療は、自分が加入している健康保険組合に申請することで初めて受けられるものです。この制度を知らずに、申請をしなかったことで、払い戻しを受けなかった人が、毎年多くいらっしゃるようです。大企業や公務員の場合は、申請しなくても、自動的に、高額医療の算出をして、払い戻してくれるというところもあるようです。会社によって、申請の仕方も還付される方法も様々のようです。
例えば、法律で定められている限度額は、一般の人で80,100円ですが、健康保険組合によっては、違うところもあるようです。自動車で有名なトヨタ自動車の健康保険組合では、この限度額が、所得に関係なく、20,000円なのだそうです。申請をすれば、3ヵ月後の給与に合算して支払われる仕組みになっているそうです。これだけしっかりした制度があると、安心して治療に専念できると思います。
中小企業の場合は、従業員に、高額医療の仕組みを説明していないところが、時々あるようです。おそらく、何のための健康保険なのかが分からないままに、加入しているという方々も多いことでしょう。保険組合に加入をすれば、自己負担が3割で済むという知識だけでは、十分ではないのです。
民間の保険会社に頼るのも一つの方法ですが、せっかく保険料を納めて、保険組合に加入しているのですから、どのような制度があるのかについて、知っておく必要があるでしょう。いざという時に、困らないように、自分が加入している健康保険組合では、どのような体制がとられているのかについて、一度、調べておくと良いと思います。
高額医療を利用するには、医療費が、自己負担額を超えていることが条件となります。しかし、それ以前に、大事なことがあります。それは、健康保険組合に加入している必要があるということです。これは、高額医療を申請するための必須条件です。
社会健康保険は、会社員や、その家族が加入しているものです。この保険料は、給与から差し引かれるので、滞納する心配はありません。しかし、国民健康保険の場合は、住んでいる市町村に、保険料を納付することになっていますん。銀行口座などからの口座振替や、自主納付(振込み)などの方法で、保険料は納付することができます。
最近は、コンビニから振り込むことが可能になった自治体もあります。自分の生活スタイルにあった方法を選べるようになり、随分便利になりました。これらの納付を怠ると、医療費に高額な費用を支払っても、高額医療費が還付されなくなってしまいます。そればかりか、病院にかかって保険適用の治療を受けても、全額自己負担になってしまいます。
時折、保険組合に加入していない患者さんが、病院にいらっしゃいます。全額自己負担の明細書を見て、びっくりされるようです。保険組合に加入しているおかげで、3割で済む医療費と、全額自己負担では、雲泥の差ですから、驚くのも無理はないでしょう。自治体によっては、相談の上、少々さかのぼって保険組合に加入させてくれるところもあるようです。こういったことにならないためにも、保険料は必ず納付しましょう。
高額医療を利用しようとする場合、医療費は、どのように計算したら良いのでしょうか?70歳未満の場合で考えてみます。仮に、70歳未満の一般の所得の方が入院した場合、1ヶ月に100万円の医療費がかかったとします。高額医療を利用しないと、自己負担が3割になりますので、30万円が負担金です。これだけの金額を用意するのは、大きな負担になってしまうことは間違いないでしょう。
しかし、高額医療を利用すれば、この負担を、かなり減らすことができます。高額医療の算出方法には、決められた計算式を使います。まずは、自分の負担金の限度額がいくらになるかを計算してください。
一般の方の場合、『80,100円+(医療費-267,000円)×1%』という計算式にあてはめて考えます。従って、80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円となります。この87,430円が、負担金の限度額です。負担分の3割分から、この限度額を差し引いた分が、高額医療費ですので、300,000円-87,430円=212,570円です。この212,570円が、高額医療費として、戻ってくるということになります。
ご理解いただけたでしょうか。30万円を支払った後、申請をして、212,570円を還付してもらう、あるいは、入院が決まった時点で申請をして、87,430円の支払いで済ますか、どちらかを選ぶことができます。もちろん、この計算式は、所得によって異なりますし、70歳以上の方の場合も、変わってきます。利用の際には、病院の相談窓口や、加入している健康保険組合で、しっかり相談してみてください。
改訂される前は、診療科毎ではなく、一つの病院で計算することができたので、あちらこちらへと診療科を渡り歩けば、ある程度高額になるものでした。しかし、現在では、高額医療は、診療科毎に算出されることになりました。例えば、内科と整形外科にかかれば、それぞれに算出しなくてはいけないという仕組みです。
それぞれの診療科でも、高額医療が適用されるものと、されないものがあります。例えば、形成外科の場合、漏斗胸の手術や、乳母再建の手術など、また、整形外科ならば、椎間板ヘルニアや、人工関節の手術に適用されます。
歯科には、自由診療といわれる治療法があります。自由診療を選んだ場合、何万円・何十万円という金額が必要となります。高額ですが、保険適用外になりますから、残念ながら高額医療は適用されません。しかし、医療費控除の対象にはなります。確定申告で申請すると良いでしょう。
また、眼科のレーシック手術ですが、この手術をすると、メガネやコンタクトといった煩わしさから解消されるとあって、今話題を呼んでいます。これも、保険適用外の手術なので、高額医療には適用されません。
自分や家族が受けようとしている手術が、保険適用のものであるかどうかは、通常は、病院側から説明があるものです。説明がなかれば、案外 無関心な方が多いようです。入院代や治療費を払ってから、いくらか戻ってくるとは聞いたものの、手続きの面倒さから、さじを投げてしまう方もいらっしゃるようです。
高額医療が無理でも、医療費控除を受けることは、可能である場合が多いので、一度調べてみてはいかがでしょうか。病院にかかったら、治療にかかった領収書や通院に使ったタクシーの領収書は、保管しておくことをおすすめします。